WEKO3
アイテム
トラフグ伊勢・三河湾(全文版)
https://doi.org/10.57348/0002013903
https://doi.org/10.57348/0002013903fba1fab4-2777-412f-80ea-42ea03fb4839
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||||||
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公開日 | 2025-03-19 | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | トラフグ伊勢・三河湾(全文版) | |||||||||||
言語 | ja | |||||||||||
言語 | ||||||||||||
言語 | jpn | |||||||||||
資源タイプ | ||||||||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||||||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||||||
ID登録 | ||||||||||||
ID登録 | 10.57348/0002013903 | |||||||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||||||
著者 |
鈴木, 重則
× 鈴木, 重則× 岸田, 達× 川内, 陽平× 竹茂, 愛吾× 福田, 野歩人
WEKO
455
× 山本, 敏博× 若松, 宏樹× 吉村, 美香× 三谷, 卓美× 玉置, 泰司× 半沢, 祐大× 宮田, 勉× 神山, 龍太郎× 三木, 奈都子× 竹村, 紫苑× 桟敷, 孝浩× 渡邉, りよ× 村田, 裕子× 鈴木, 敏之 |
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抄録 | ||||||||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||||||||
内容記述 | フグ目、フグ科に属し、学名は Takifugu rubripes。背面は暗黒色、腹面は白色で小棘が密生している。胸鰭の後方には白く縁取られた大黒斑がある。膨張嚢に空気や水を吸い込んで体を膨らませることができる。腹鰭、助骨、上助骨を欠く(厚生省生活衛生局乳肉衛生課 1994, 落合・田中 1986)。 厚生省生活衛生局乳肉衛生課 (1994) 日本近海産フグ類の鑑別と毒性, 中央法規出版, 東京,1. 落合 明・田中 克 (1986) 新版魚類学(下).恒星社厚生閣,東京,1024-1026. 【分布】 北海道以南の太平洋沿岸、日本海、黄海、東シナ海に分布する。トラフグ伊勢・三河湾系群の主な生息海域は紀伊半島東岸から駿河湾沿岸域に限られる(伊藤 1997, 伊藤ほか 1999, 安井・濱田 1996)。 伊藤正木 (1997) 移動と回遊からみた系群.トラフグの漁業と資源管理 (水産学シリーズ111,日本水産学会監修 多部田 修編), 恒星社厚生閣, 東京,28-40. 伊藤正木・安井 港・津久井文夫・多部田 修 (1999) 標識放流結果から推定した遠州灘におけるトラフグ成魚の移動・回遊.日本水産学会誌,65(2),175-181. 安井 港・濱田貴史 (1996) 遠州灘・駿河湾海域におけるトラフグの標識放流結果からみた移動.静岡水試研報,31,1-6. 【生態】 寿命は10年程度と考えられている。成熟年齢は雄で2歳、雌で3歳である。全長80cm以上に達する。本系群の産卵場は伊勢湾口沖に限られる(神谷ほか 1992, 中島 2001, 白木谷ほか 2002, 鈴木ほか 2021)。 神谷直明・辻ヶ堂諦・岡田一宏 (1992) 伊勢湾口部安乗沖におけるトラフグ産卵場.栽培漁業技術開発研究,20,109-115. 中島博司 (2001) 伊勢湾口部トラフグ産卵場の規模と産着卵の分布について. 三重県水産技術センター研究報告, 9, 1-8. 白木谷卓哉・田中健二・岩田靖宏・家田喜一・石川雅章 (2002) 伊勢湾口部におけるトラフグの産卵場及び産卵時期.愛知水試研報, 9, 27-31. 鈴木重則・山本敏博・澤山周平・西嶋翔太 (2021) 令和2(2020)年度トラフグ伊勢・三河湾系群の資源評価. 令和2年度我が国周辺水域の漁業資源評価,水産庁・水産機構 【利用】 高級食材として、さしみ(てっさ)、鍋(てっちり)、唐揚げ等で食される。静岡県では「遠州灘天然とらふぐ」、三重県では「あのりふぐ」のブランド名で観光資源としても利用されている(濱田 2012, 河野 2008, 松浦 2017)。 濱田英嗣 (2012) トラフグの資源動向・資源管理 ―県境を越えた東海3県による管理の成果と課題―.日本沿岸域における漁業資源の動向と漁業管理体制の実態調査 平成23年度事業報告,一般財団法人東京水産振興会,133-142. 河野延之 (2008) 「遠州灘天然とらふぐ」のブランド化とそれを活用した観光振興.平成19年度栽培漁業技術中央研修会テキスト集,1-21. 松浦 勉 (2017) 第2節 産地におけるトラフグ消費構造の変化.トラフグ物語―生産・流通・消費の構造変化,農林統計協会,東京, 119-125. 【漁業】 ふぐはえ縄漁業、小型底びき網漁業により漁獲される(鈴木ほか 2021, 三重県ほか 1998, 安井ほか 1997, 長尾ほか 1998, 中島 2004, 平井ほか 2011)。 平井一行・原田 誠・岩崎正裕・津本欣吾・鈴木重則・花井孝之・大河内裕之・山内 悟・岡田 元・多門裕史・佐藤孝幸・鶴田義成 (2011) 栽培漁業資源回復等対策事業 平成18-22年度総括報告書(太平洋中海域トラフグ),203-254 三重県・愛知県・静岡県 (1998) トラフグ資源管理推進指針, 太平洋中区資源管理指針, 1-20. 長尾成人・鯉江秀亮・大澤 博・福嶋万寿夫 (1998) 伊勢湾・遠州灘におけるトラフグの資源動向について-(1) はえ縄漁業と底びき網漁業の漁獲実態と相互の関連性. 愛知県水産試験場研究報告, 5, 11-23. 中島博司 (2004) 延縄標本船調査から見たトラフグの三重県沿岸域における漁場形成と伊勢湾の漁場評価について.三重県科学技術振興センター水産研究部研究報告,11,1-13. 鈴木重則・山本敏博・澤山周平・西嶋翔太 (2021) 令和2(2020)年度トラフグ伊勢・三河湾系群の資源評価. 令和2年度我が国周辺水域の漁業資源評価,水産庁・水産機構 安井 港・田中健二・中島博司 (1997) Ⅲ.漁業と資源の動向 7.伊勢湾と遠州灘.トラフグの漁業と資源管理 (水産学シリーズ111,日本水産学会監修 多部田 修編), 恒星社厚生閣, 東京, 84-96. 【1】資源の状態 本系群については分布と回遊、産卵期、産卵場に関する知見が整っている。種苗の放流適地、放流適サイズが把握されている。卵、仔稚魚の調査が実施されている。漁獲量は1993年漁期以降把握され、努力量については小底は1993年漁期以降、ふぐはえ縄は1995年漁期以降の情報が整理されている。ふぐはえ縄漁業については漁船別取引記録(水揚伝票)について独自調査の蓄積がある。種苗放流数は把握されており、放流種苗の混入率並びに添加効率把握のためイラストマー標識(2000年漁期以降)、アリザリン・コンプレクソン(ALC)耳石標識(2005年漁期以降)、胸鰭切除標識(2007年漁期以降)が施されている。定期的に収集される漁業データに基づき資源評価が毎年実施されており、資源評価の内容は公開の場を通じて利害関係者の諮問を受けて精緻化されている。資源水準は低位、動向は減少と判断された。 資源評価結果を踏まえ大規模な種苗放流による加入の増加、資源管理指針・計画のもとでの未成魚の獲り控え等が取り組まれている。評価の不確実性を考慮した管理基準値も提示しているが施策には反映されていない。海洋環境とRPSの関係等が調査されているが資源管理には反映されていない。静岡県、愛知県並びに三重県の漁業者、試験研究機関、行政機関、大学等の参加者により、持続的な漁業生産並びに儲かる漁業の実現に向けた議論を行う場を設けている。当該海域では外国漁船との競合はない。トラフグは取扱、流通ルートが限定されるためIUU漁業が行われにくい。 【2】生態系・環境への配慮 トラフグを漁獲する漁業の生態系への影響の把握に必要となる情報、モニタリングの有無については、太平洋中区の黒潮内側域は暖流系小型浮魚類の生育場であり、動植物プランクトン生産等については研究が進められてきた。伊勢・三河湾については生産力等に関する調査・研究が進められてきた。海洋環境及び漁業資源に関する調査は関係県、水産研究・教育機構の調査船によって定期的に実施されている。混獲や漁獲物組成に関する情報は漁業からは十分得られていない。 同時漁獲種への影響について、混獲利用種に関しては、ふぐはえ縄は資源に影響を与えるほど大量には漁獲されていない。小底ではマダイ、クルマエビ、かれい類、ヒラメ、スズキ、その他のえび類、シャコ、マアナゴが混獲利用種であるがシャコ、マアナゴ、かれい類は資源が懸念される状態であった。混獲非利用種は、ふぐはえ縄は無視しうるとした。小底はスナヒトデ、オカメブンブク、小型かに類、モミジガイとしたが、漁業によるリスクは低いと考えられた。対象海域に分布する希少種のうち、コアホウドリとニホンウナギに中程度の影響リスクが認められたが全体としては低いと考えられた。 食物網を通じたトラフグ漁獲の間接影響については、トラフグは毒を有する魚であるため、捕食者はほぼ存在しないのではないかと考えられる。餌生物のうち、トラフグによる影響が懸念される種は存在しなかった。食性類似種のうちヒラメはトラフグと餌を巡る競争の存在を否定できなかった。漁業による生態系全体への影響については、評価対象海域で漁獲される魚介類の総漁獲量及びそれらの漁獲物平均栄養段階は低下傾向にあり、生態系全体に及ぼす影響が無視できないと推定された。 漁業による海底環境への影響については、対象漁業のうち小底において、その強度と規模の影響が中程度にあり、海底環境への負荷は無視できないと考えられた。 【3】漁業の管理 ふぐはえ縄は海区漁業調整委員会指示により操業の禁止期間が設定され、小底は隻数制限が設けられ、TAE (漁獲努力可能量)の設定により漁獲努力量(隻日)の上限が設定されてきた経過がある。さらに資源管理指針に基づく自主的管理措置として休漁に取り組む等のインプット・コントロールが導入されている。ただし本系群の資源状態は低位・減少傾向である。ふぐはえ縄は、海区漁業調整委員会指示、資源管理指針により小型魚保護(体重制限)、親魚保護のための採捕禁止区域の設定が行われている。小底についても時期により全長25cm以下のトラフグの再放流が謳われておりテクニカル・コントロールが導入されている。小底で25cm以下の小型魚を再放流する措置は種苗放流効果を高める措置でもある。ふぐはえ縄本体は海底環境・ほかの生態系への直接影響はないが、小底は海底環境への影響を制御する規制は見当たらない。愛知、三重両県では漁業者自らが藻場・干潟の保護、森林の保全及び整備等により漁場環境の改善に取り組んでいる。 本系群は広域資源であり太平洋広域漁業調整委員会において漁業管理の検討が行われ、水産政策審議会でTAE設定が審議されてきた経緯があるなど、生息域をカバーする管理体制が確立している。漁船漁業の監視・取締は関係県当局が複数の取締船により日常的に行っている。体長制限等については水揚げ港等での漁協職員等による監視が可能である。小底は関係省令、各県漁業調整規則等に違反した場合、免許、許可の取り消しや懲役刑、罰金あるいはその併科となる。ふぐはえ縄は海区漁業調整委員会指示に違反し県知事の命令にも従わない場合、一年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処せられる。本系群は国、愛知県、三重県の作成する資源管理指針において、資源状況、管理目標など、必要な取り組みが述べられ、目標・施策は定期的に見直されており順応的管理の仕組みは部分的に導入されていると考えられる。 対象となるすべての漁業者は漁業者組織に所属しており、特定できる。ふぐはえ縄、小底とも自主的管理措置として体長制限、休漁等に取り組んでいることから資源管理に対する漁業者組織の影響力は強いといえる。愛知県、三重県とも漁協、漁連等が販売、加工等の事業を行い、漁獲物のブランド化等にも取り組み、個別の漁業者では実施が困難な経営上の活動を実施している。ふぐはえ縄、小底とも漁業者は関係する会議への出席等を通して資源の自主的管理、公的管理に主体的に参画している。資源管理の意思決定を行う各レベルの会合には、それぞれ学識経験者をはじめ幅広い利害関係者が参画する仕組みが作られており、施策の意思決定については、資源管理指針に則り、定期的に目標と管理措置の検討、見直しが協議されている。種苗放流事業の費用負担については、関係県、漁業者間における費用負担の調整、負担の公平性や低減について検討が行われている。 【4】地域の持続性 本系群は、愛知県の小底及び愛知県・三重県のふぐはえ縄で大部分が獲られている。漁業収入はやや低位で推移し、収益率のトレンドは高く、漁業関係資産のトレンドはやや低かった。経営の安定性については、収入の安定性、漁獲量の安定性ともにやや低かった。漁業者組織の財政状況は高かった。操業の安全性は高かった。地域雇用への貢献は高い。労働条件の公平性については、漁業及び加工業で特段の問題はなかった。買受人は取扱数量の多寡に応じた人数となっており、セリ取引、入札取引による競争原理は概ね働いている。取引の公平性は確保されている。食品衛生法等により衛生管理が徹底されており、 仕向けは高級食材である。先進技術導入と普及指導活動は概ね行われており、物流システムは整っていた。水産業関係者の所得水準はやや低い。地域ごとに特色ある漁具漁法が残されており、地元での料理提供が盛んになってきた。 【5】健康と安全・安心 トラフグは、魚介類のなかでもタンパク質含量の多い魚である。タンパク質は、筋肉等の組織や酵素等の構成成分として重要な栄養成分のひとつである。旬は、産卵前の冬である。この季節には身が美味しくなり、うま味と甘味があって絶品といわれる白子が大きくなる。利用に際しての留意点は、フグ毒による食中毒防止である。提供する側は、食品衛生法及び各都道府県の条例に従った処理や調理を行う。家庭では、自分で釣ったフグを調理する等の素人調理は行わない、知人から譲り受けたフグは食べないなど、フグ調理の有資格者や認定者によって処理や調理されたもの以外は食べないようにする。 |
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言語 | ja | |||||||||||
内容記述 | ||||||||||||
内容記述タイプ | TableOfContents | |||||||||||
内容記述 | 概要 1. 資源の状態 概要 評価範囲 1.1 対象種の資源生物研究・モニタリング・評価手法 1.2 対象種の資源水準と資源動向 1.3 対象種に対する漁業の影響評価 引用文献 2. 海洋環境と生態系への配慮 概要 評価範囲 2.1 創業域の環境・生態系情報,科学調査,モニタリング 2.2 同時漁獲種 2.3 生態系・環境 引用文献 3. 漁業の管理 概要 評価範囲 3.1 管理施策の内容 3.2 執行の体制 3.3 共同管理の取り組み 引用文献 4. 地域の持続性 概要 評価範囲 4.1 漁業生産の状況 4.2 加工・流通の状況 4.3 地域の状況 引用文献 5. 健康と安全・安心 5.1 栄養機能 5.2 検査体制 引用文献 |
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言語 | ja | |||||||||||
内容記述 | ||||||||||||
内容記述タイプ | Other | |||||||||||
内容記述 | 本評価報告書は、SH”U"Nプロジェクト評価手順書(Ver.2.0.4)に基づいて作成された。 報告書案作成:2021年10月22日 Stakeholder consultation:2021年11月8日~12月16日 パブリックコメント:2022年1月26日~2022年2月25日 報告書完成:2022年2月28日 報告書Ver.1.0.0 編纂:岸田 達, 松川祐子, 大関芳沖 編纂責任者:大関芳沖 |
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言語 | ja | |||||||||||
bibliographic_information |
ja : SH"U"N サスティナブルでヘルシーな “うまい” 日本の魚プロジェクトホームページ(閉鎖) 巻 63, p. 1-76, ページ数 76, 発行日 2022-02-28 |
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出版者 | ||||||||||||
出版者 | 水産研究・教育機構 | |||||||||||
言語 | ja | |||||||||||
情報源 | ||||||||||||
関連タイプ | isIdenticalTo | |||||||||||
識別子タイプ | Local | |||||||||||
関連識別子 | SHUN_full_63 | |||||||||||
言語 | ja | |||||||||||
関連名称 | SH"U"Nプロジェクト評価結果 | |||||||||||
出版タイプ | ||||||||||||
出版タイプ | VoR | |||||||||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 |