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アイテム
九州南西海域における黒潮小蛇行に伴う渦流の変動およびその魚卵稚仔輸送への影響
https://fra.repo.nii.ac.jp/records/2008182
https://fra.repo.nii.ac.jp/records/2008182ae31fb1e-c6e7-45c6-b9fa-ba6c0c1d41a3
Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||
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公開日 | 2024-06-20 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 九州南西海域における黒潮小蛇行に伴う渦流の変動およびその魚卵稚仔輸送への影響 | |||||
言語 | ja | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | Studies on the Eddies associated with the Meander of the Kuroshio in the Waters off Southwest Coast of Kyushu and their Effects on Egg and Larval Transport | |||||
言語 | en | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||
アクセス権 | ||||||
アクセス権 | metadata only access | |||||
アクセス権URI | http://purl.org/coar/access_right/c_14cb | |||||
著者 |
宮地, 邦明
× 宮地, 邦明 |
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抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | The evolution of mesoscale oceanographic features and effects of mesoscale phenomena on sardine egg and larval transport were examined on the basis of data observed by several means, i. e. cruise survey, NOAA infrared imagery, mooring currentmeter and monitoring system with a ferryboat in the waters southwest of Kyushu, the East China Sea. It has been found that the small meander of the Kuroshio associated with eddies had a significant effect on the egg and larval transport. The small meander of the Kuroshio was found to have a predominant period of 10-20 days and wave length of 200-300 km, propagating toward the downstream direction of the Kuroshio with a phase velocity of about 20 cm sec⁻¹. It appeared that the meander preceded the formation of an anti-cyclonic eddy (diameter≥160 km), and the anti-cyclonic eddy subsequently excited the oscillation of the meander. When the anti-cyclonic eddy was growing, the coastal water was drawn from the fringe to the center of the eddy. It was conspicuous in northeastern portion of the eddy in particular. After the eddy disrupted, the coastal water area stretched toward the offshore was transformed into a trough of the small meander and shifted eastward as the meander progressed. Statistical analysis of sea surface temperature observed from the ferryboat showed that the chain of event was generated once or twice a month over a five year period. The sardine spawning area was formed in the coastal water area. The sardine eggs and larvae were transported with the coastal water under the transition of the mesoscale oceanic phenomena. Consequently we need egg and larval surveys which should be designed taking into account space and/or time scale of variation of the mesoscale events in order to estimate exactly the abundance of eggs and larvae transported. | |||||
言語 | en | |||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 東シナ海の大陸棚縁辺から九州西岸にかけての海域は,マアジ·マサバ·マイワシ等の浮魚類をはじめとする多くの魚類の産卵場となっている.中でも,マイワシはその大きな資源変動に伴って産卵場が変化し,資源が増大した時期には九州南西海域,特に薩南海域に産卵場が形成される.この海域で生まれた卵や稚仔は,沖合を流れる黒潮や対馬暖流によって太平洋沿岸あるいは日本海に輸送され,日本近海の資源の補給源として寄与している.したがって,九州南西海域の産卵場からの卵·稚仔の輸送過程を明らかにすることは,日本近海における浮魚類の資源変動の機構を解明し,それを予測する上で,卵·稚仔の生残に関する生物学的研究と並んで欠くことのできない重要研究課題と考えられる.一方,東シナ海の海洋構造や資源補給機構に関するこれまでの研究において,漁場や産卵場の形成に中規模の渦流が関与していることが示唆されている.しかし,大部分は定性的な議論に留まり,渦流の特性とそれが漁場形成や産卵場に及ばす影響を定量的に考察した報告は見られない.そこで,産卵所付近の中規模の渦流に焦点を当て,九州南西海域における海水流動の構造とその変動特性およびそれらが産卵場形成や卵·稚仔輸送に及ぼす影響を定量的に解明しようとした.また,得られた知見に基づき,資源量変動予測の基礎となる産卵調査のあり方について検討を加えた.海水流動の構造とその変動特性については,まず1982年から1986年の間に実施した計4回の調査船による水温·塩分観測資料を用いて,水温·塩分·地衡流の分布構造,渦度および収束場の空間分布について解析した.また,係留系による測流資料(9地点)を統計解析し,平均的流動場,変動の周期性,伝播特性および変動の機構に関する検討を行った.特に,高気圧性渦流の変動過程を詳細に追跡した.さらに,人工衛星(NOAA-6,7)の熱赤外画像を用いてこの渦流の水平微細構造を把握すると共に,トカラ海峡を横断する定期フェリーボートによる航走水温観測資料に基づき海洋構造の時間変動を解析し,黒潮変動に伴う渦流の発生機構について考察した.一方,卵·稚仔に関する資料としては,200海里水域内漁業資源調査の中の卵·稚仔魚群分布精密調査資料と,漁海況予報事業による海洋観測資料を用い,特に,マイワシ卵の分布について海洋構造の観点から論じた.研究成果の大要は以下のとおりである。Ⅰ 黒潮小蛇行に伴う高気圧性渦流の形成とその変動 海況資料の解析結果から,九州南西海域には黒潮の小蛇行に伴い,渦流が間欠的に出現することが分かった.また,この渦流の形成·消滅過程およびその過程で生じる沿岸水の黒潮への引き込みについて以下のことが明らかになった.黒潮は,東シナ海の大陸斜面域に沿って小蛇行しながら北上する.この小蛇行の周期は10~20日,波長は200~300km,また位相速度は約0.2m/sである.その黒潮は奄美大島北西の29°30’N付近に達すると,流幅が広がると共に流速が弱まり,流路が複雑に変化する.この海域から九州西方に至る海域は,沖縄舟状海盆の北端に当たり,等深線が北に湾入した馬蹄形状の地形となっている,この上流部で黒潮流路が大陸棚寄りに変化すると,馬蹄部西側の大陸斜面沿いに分枝流が生じる傾向があり,それが契機となって半径が80kmを越える大きな時計回りの暖水渦が形成される。この渦流域は渦流の発達時に収束域となり,周辺の,特に南東部の飯島近辺では九州沿岸水を引き込む現象が顕著となる,渦流発生後約1週問経つと,黒潮前線が渦流の北端付近まで移動し,海域は黒潮水で覆われ,渦流は消滅する.黒潮前線は,九州沿岸水の貫入部の形状を残したS字状の蛇行を維持したまま次第に東に移動し,沿岸水の貫入部がトカラ海峡に達すると,海峡では黒潮前線の二重構造が現れる.さらに1週間程度経過すると,トカラ海峡では黒潮前線の凸状部が九州南部に接岸する.一方,奄美大島北西海域では黒潮が大陸斜面を離れ,その一部が馬蹄形状の地形の中央を北上し,黒湖およびその分枝流の周囲にやや小規模の時計回りと反時計回りの渦がいくつか形成される。以上の過程は,巨視的には,東シナ海を東北東流する黒潮の小蛇行と密接に関連しており,小蛇行がこの海域に至って振幅を急激に拡大することに伴って生じる現象とみられる。その力学的過程としては,上述のような陸棚斜面の捕捉効果による分枝流の発生のほか,前線波の不安定化の進行に伴う暖水渦の発生·切離等が考えられるがまだ不明な点が残されている。Ⅱ 黒潮小蛇行に伴う渦流が卵·稚仔·の分布·輸送に及ぼす影響 薩南海域では,マイワシ卵が沿岸域から黒潮前線付近まで分布し,特に前線付近に濃密な分布をする傾向を示すこと,その分布域が前線の変動に伴って大きく変動することが分かった.また,黒潮小蛇行とそれに伴う渦流による沿岸水の引き込みが,九州南西海域における産卵親魚や卵·種仔の分布に以下のような変動を引き起こしていることが推察された。産卵期に,トカラ海峡の西方海域に時計回りの渦流が形成されると,沿岸域に分布していた産卵親魚および卵·稚仔はその渦流に引き込まれ,沖合に分布を広げる.この傾向は飯島付近で顕著である。黒潮小蛇行は沿岸水の貫入郎の形状を残したまま東に移動するので,蛇行の谷に引き込まれた親魚と卵·稚仔も薩南海域に移動する、このことは,薩南海域に分布し産卵する親魚群の多くが,渦流に伴い九州西方から移動してくる群れで占められることを示唆している。暖水渦の形成や小蛇行は20日程度の周期で出現することから,それに伴い黒潮が離接岸する陸南海城では,卵·稚仔の出現も断続的になると考えられる。さらに,係留系による測流および航走水温観測から得られた特徴的な海況パターンの持続時間は6日程度であることから,薩南海域に分布する卵·稚仔量も同程度の持続時間を持つものと推定される.次に,上記のような過程を経て薩南海域に供給され,産卵期間中に本州太平洋側の海域に輸送される卵量を次式によって推定した.E = n∑i=1 Fi = n∑i=1 Ci·Ai (1) ここで,Eは産卵期間中に薩南海域の産卵場から太平洋側に供給される卵の総量,Fは小蛇行1サイクル当たりの通過量,nは産卵期間中の小蛇行の通過回数,Cは蛇行の1波長内における卵の単位面積当たりの平均密度である.また、Aはトカラ海峡に張り出した沿岸水の面積で,小蛇行の進行速度(v)とトカラ海峡における沿岸水の張出距離(L)を用いて表すと,A=v⌡L(t)dt (2) となる。この方法を用いた1984年2月の計算例では,黒潮小蛇行1サイクル当たりの卵通過量はほぼ10兆粒,また産卵盛期である2·3月の2ヵ月間に通過した卵量は35兆粒と推定された.この値は,対馬海峡および九州西海域におけるこの年の総産卵量の推定値の約50%に相当している。このような推定の精度を高めるためには,黒潮小蛇行や渦流形成に対応させながら,薩南海域での卵の分布とその時間変動を正確に把握することが重要である,すなわち,フェリーボートや人工衛星などにより海況変動のモニタリングを日単位で行い,渦流形成とそれに伴う沿岸水の張り出しをとらえ,小蛇行1サイクルに対応して20日間隔で,沿岸水の張り出し時(持続時間約6日)に集中的に観測することが必要である.以上,本研究により,九州南西海域における黒潮小蛇行と渦流の動態を現場観測に基づいて明らかにした.また,卵·稚仔の分布や輸送に渦流を伴う黒潮小蛇行が極めて重要なかかわりを持つことを具体的に示した.さらに,黒潮小蛇行や渦流の時間変動特性を考慮した.産卵量評価のための卵·稚仔調査の精度向上化の方法を提案した. | |||||
言語 | ja | |||||
bibliographic_information |
ja : 西海区水産研究所研究報告 en : Bulletin of the Seikai National Fisheries Research Institute 巻 69, p. 1-77, ページ数 77, 発行日 1991-05 |
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出版者 | ||||||
出版者 | 西海区水産研究所 | |||||
言語 | ja | |||||
出版者 | ||||||
出版者 | Seikai National Fisheries Research Institute | |||||
言語 | en | |||||
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収録物識別子タイプ | PISSN | |||||
収録物識別子 | 0582-415X | |||||
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収録物識別子タイプ | NCID | |||||
収録物識別子 | AN00393385 | |||||
情報源 | ||||||
識別子タイプ | Local | |||||
関連識別子 | snf_k_69_1 | |||||
関連サイト | ||||||
識別子タイプ | URI | |||||
関連識別子 | https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010500411 | |||||
言語 | ja | |||||
関連名称 | 日本農学文献記事索引(agriknowledge) |